私が使い続けているアプリケーションの中でも、いろいろと試しつつも淘汰したりしてきた後の厳選されたひとつにEvernoteがあります。「すべてを記憶する」というキャッチコピーの通り、いろいろなことを記録しているクラウドシステムとして活用しています。実際には、メモ関係を入れていっているだけなので本当の実力を使い切っているとは言えないのですが、それでもiPhoneとMacBook Pro、MacBook Airで便利に使っていました。

しかし、Evernoteアプリのアップグレードは、特にiPhone向けは非常に評判が悪いです。毎回毎回大きな問題を引き起こしていて、以前も苦しめられている人を見てきていたので、先日のiOS 7後にデザインも機能も一新された新バージョンが出ていたのですが、当然完全スルーをしていました。しかし、iOS 7上で旧バージョンを使っていると文字入力や、文字入力のためのキーボードがおかしくなったり、アプリ全体の動作が不安定になってしまっていました。そこで、ちょうど7.0.2というバグフィックスバージョンが出ていたので、アップグレードしてみたのですが…。

そもそも、7.0がリリースされた直後のレビューコーナーは荒れに荒れ、不具合の報告もたくさん書き込まれていたので当然、それらがフィックスされたということで「多くの不具合修正」ということなのだと思っていました。正直、まだまだ怖かったのでできる限りアップグレードしたくなかったのですが、どうしても旧バージョンの不具合がひどく、毎日使っている身としてはとても困っていたのでアップグレードしてしまいました…。

絶対に問題が発生すると思っていたので、直前にiPhone 5s自体のバックアップもしておいて、最悪全体的に復元して戻そうということも考えていて、なおかつ、とりあえずMac版の方もあるのでとりあえずは何かがあっても大丈夫だという姿勢で臨んだのですが、案の定、というか期待通りというか、アップグレードにEvernoteを起動したら、すべてのノートが消え去っていました。結構ショックだったのでスクリーンショットを取り忘れてしまいましたが、同期をし直しても復帰せず、完全にノートが失われた状態でした。

実際、アプリのレビューを見ると消えたという報告が出ていたり、その他、ものすごい数の☆1のレートが付いています。

私は前述のように対策を立てた状態で臨んだのでまだ良いと思いますが、それでも結構ショックでした。これが、このような対策をせずに軽い気持ちでアップグレードしてしまった人が、同様にすべてのノートが消えてしまったとしたら目の前が真っ白になるのではないかと思います。特に、メインのアプリとして「すべてを記憶する」ためにすべてのデータを放り込んでいたとしたら…。想像するだけで恐ろしいですね。

実のところ、アプリを一度削除し、再度インストールすることで同期をし直してノート自体は復活しました。ただ、これができる人だけではありませんから、このトラブルを乗り越えられない人もいるのではないでしょうか。

それにしても、以前のバージョンからもとっても評判が悪いEvernoteのアップグレードは、開発元としてはどのように対策をしているのでしょうか。これから使い始めようとする人にとっては、このレビューを見たら止めたくなりますし、実際に困っている人たちがたくさんいるのですから、もう少し対策情報をしっかり出すとか、そもそも検証をもっとしっかりとしてからリリースするなど対策ができるのではないかと思います。なにか、クリエイティブな方向ばかりを宣伝していますが、こういう最低限のことができていないシステムをメインに使うことはできませんね。

私は、次のアップグレードくらいを見つつ、同じようなことを繰り返すのであればもうEvernoteを使うのは止めようと思います。

また、以前にも似たようなことを書きましたが、これだけの大きなアップグレードでインターフェースも全然変えたりする時には、今までのバージョンも当面で良いので使えるようにしておいて欲しいですね。新しいことに取り組んでいきたいというのは分かりますが、それがユーザーの使用感を損なわせるとしたら、本末転倒なのではないかと思うのです。